堀内 良太
2022/01/25
イラレの3D機能が新しくなったということで、実際に使ってみました。
今回は新しくなった3D機能の紹介と、実際に3Dオブジェクトを作った過程を紹介します。
その後、良かったところと悪かったところ、旧3Dとの違いをまとめています。
それでは早速いってみましょう。
旧3D記事について
新しくなった部分をひとつずつ見ていきます。
今回の目玉はこちら、3Dの表面にマテリアルが貼り付けられるようになりました。
金属や革、木目調などいろんなマテリアルがはじめから42個用意されており、さらに素材を読み込んで新しいマテリアルを追加することもできます。
さらにマテリアルの解像度や断面の形・繊維、節目の量、位置、密度などいろんな調整をおこなえます。
Adobe Substance3D assetsにあるマテリアルと同じものが用意されていて、オブジェクトを選択した状態でマテリアルを選択すれば反映されます。
質感もかなりリアルで、今まで表現できなかった、または表現が難しかった質感がかんたんにつくれるようになりました。
しかしこの中にあるものはかなり特殊なマテリアルばかりです。この辺は最後の感想で述べたいと思います。
旧3Dでは「押し出し・ベベル」「回転体」「回転」とありましたが、「回転」が「平面」に名前が変わり、新しく「膨張」が追加されました。
膨張は、元のパスの面を丸く盛り上げることができます。
ベベルの幅や高さ、繰り返す回数も選べるようになりました。
光の位置、強度、回転、高さ、柔らかさなどの調整ができるように、シャドウの設定もできるようになりました。
これも大きな変更点です。
以前はダイアログボックスパネルを表示して設定をおこなっていましたが、
今回からはスウォッチやカラーパネルと同じような、独自のパネル表示に変わりました。
独自パネルにかわったことで、設定の途中でもフォントを変更したり、別のアピアランス効果を追加できるようになりました。
オブジェクトの回転は、ダイアログボックス内でおこなっていましたが、新しい3Dでは直接オブジェクトをさわって回転することができるようになりました。
パネル内で設定できることは以下の3つです。
オブジェクトタブではオブジェクトの3D設定や奥行き・見え方などを設定できます。
マテリアルタブではオブジェクトの表面に素材を適用することができます。
マテリアルはAdobe Substance3D assetsから追加でダウンロードすることもできるようです。
ライトタブでは、オブジェクトに当たる光の角度や量、明るさなどを設定することができます。
実際に入力した文字を3D化してみました。
文字ツールを選択して
アートボードをクリックして文字を入力します。
立体にしたとき見栄えするよう少し太めのフォントを選択しています。
黒だと陰影が分かりづらいので明るい色を配色しました。
ウィンドウメニューから効果→3Dとマテリアル→押し出し・ベベルを選択します。
※以前の3Dで設定をおこないたい場合は、3Dとマテリアル→3D(クラシック)を選択すれば設定できます。
独自パネルが表示されます。独自パネルの上に3つのタブ(オブジェクト、マテリアル、ライト)があります。
デフォルトでオブジェクトが選択された状態ですので、奥行きのスライダーを移動させて立体の厚みを設定します。
せっかくなので新しく搭載された膨張を設定してみることにします。
膨張を選択して、ボリュームのスライダーを移動させて膨張の大きさを変更します。
次に回転にあるスライダーを動かしてオブジェクトの見え方を変更します。
もしくは選択ツールでオブジェクトの真ん中に表示されている十字のアイコンをドラッグして動かします。
次にマテリアルのタブを選択し、好みのマテリアルを選択します。今回はカラマツ材を選択しました。
木目のコントラストを高めに設定します。
木材(ニス仕上げ)フィルターにあるニスのカラー適用度を高めに設定して色合いを強めます。
ここで一度、パネル右上にあるアイコン(レイトレーシングでレンダリング)をクリックしてみましょう。
実際のレンダリングされた状態のグラフィックを確認できます。
レンダリングされたものを確認すると、レンダリングする前のものとはかなりの違いを感じました。
※レイトレーシングとは
レイトレーシングは、光の経路を画像平面内のピクセルとしてトレースし、仮想オブジェクトへの影響をシミュレートすることによって画像を生成するために使用されるレンダリング手法です。
反射や屈折、散乱、分散現象など、さまざまな光学効果をシミュレートするため、非常にリアルな映像をレンダリングできます。
また、光波と同様の方法で音波の経路を追跡するために使用することもでき、リアルな残響とエコーをレンダリングし没入型のサウンドデザインの設計などに利用されています。
出典:【2021】3DCGにおける「レンダリング」とは?レンダリングの種類と方法より
レンダリングは重くなりますので、作業時はレンダリングせずに(リアルタイムプレビュー)で作成をすすめて時々レンダリングで実際の見え方を確認するのが良いかと思います。
もう一度アイコンをクリックしてリアルタイムプレビューに切り替えておきましょう。
最後にライトのタブをクリックして光のあたり具合を調整します。
プリセットが4つ用意されています(標準・拡散・左上・右上)。
標準のままにします。
カラーは光の色合いを変更することができますが、今回は白のままにしています。
強度と高さ・滑らかさを調整しました。
環境光は数値が高すぎると陰影が目立たなくなってしまうので少し弱めに設定しました。
シャドウのスイッチをオンにして位置をオブジェクトの下に設定、オブジェクトからの距離を近め、シャドウの境界は表示する範囲なので大きめに設定しましょう。
リアルなカラマツ材の3D文字ができました。
そのほかにも漆喰スタッコ調コテ仕上げのマテリアルがこちら
牛革のマテリアルで作成した3Dがこちらになります。
さきほど紹介した3Dとマテリアルパネルの右上にあるレンダリングボタン
そのボタンの右側にある下矢印のアイコンを押すとオプション設定を表示できます。
感想は以下です。
新しくなってよかったところは
ダイアログボックスから独自パネルに変更になったことで、3Dを作成しながらテキストの打ち替えをしたり、
他の効果の適用ができるようになったことでしょう。
今まではダイアログボックスで編集してOKを押してダイアログボックスが消える→再編集の場合はもう一度 効果→3Dを選択して再編集と面倒でしたので。
リアルな質感をプラスすることができるようになったやマテリアルに詳細な設定ができるようになったのも良いです。
オブジェクトの中心を触って直接見えかたの編集ができるようになったことも良いです。
これも以前はダイアログボックス内の仮想モデルを動かして操作をしていましたので、まえよりも感覚的に操作ができるようになりました。
マテリアルの種類は豊富ですが、
その内容はというと、「尖ったひし形コンクリート」、「蛇革」や「牛革」、「砂丘の砂紋」などと、何に使えば良いのか分からないものが多く微妙な気がしています。
adobe substanceのアセットからインストールすれば問題ないかというとそうではなく、素材のほとんどが有料でサブスク制の料金体系となっています。
無償のものはほぼ使えないものばかりなので少々がっかり。
あとは以前の3Dに搭載されていたマッピングの機能がなくなってしまったので、
自分で用意した画像やグラフィックを貼り付けることができなくなってしまいました。
マテリアルはあくまでadobe substanceのアセットからしか選ぶことができないということですね。
旧3Dを使って自分で作成した3Dイメージ(容器など)にグラフィック(ラベル)を貼り付けることをしていたので、新しい3D機能ではそういったことはできないかもしれません。
あともうひとつ、旧3Dでお世話になった遠近感の設定がありませんでした。
旧3Dではオブジェクトに遠近感をプラスすることで勢いのある3Dを作ることができましたが、新しい3Dでは見当たらず。それも旧3Dで作るしかないようです。
よくなかったところとも被りますが、
●膨張が追加された
●マテリアルを貼り付けられるようになった。
●影がつけられるようになった。
●独自パネル化されたことで、設定の途中でもオブジェクトに別の効果設定ができる。
●遠近感の設定がなくなってしまった。
●マッピング機能がなくなってしまった。
以上です。また更新ありましたら随時調査していこうと思います!
堀内 良太
フォトレタッチとイラスト作成が得意なフリーランスのデザイナー。デザインがなんだかアメコミっぽくなる習性がある。ヒップホップを愛する。
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