堀内 良太
2020/05/18
Photoshopには「選択範囲を作成する」という作業工程があります。選択範囲は作業を行ううえで、一番最初の工程となります。
今回は選択範囲の機能と、いろんな選択範囲の作成方法をご紹介していきます。
選択範囲とは、その名のとおり選択した範囲を視覚的にわかるよう破線をつくることです。選択範囲が作成されると次のような枠の破線が作成されます。
選択範囲を作成するといろんなことができます。
選択範囲を作成した箇所に
色を塗りつぶしたり、
色を変えたり
選択した箇所を切り抜いたり、
選択した箇所を反転させて反対側に色を塗ったり切り抜いたり、
選択した枠をさらに大きくしたり小さくしたりして、
そこに色を塗って画像の後ろに配置したり
まだまだ他にもいろんなことができます。
それでは選択範囲を作成するいろんな方法を紹介していきます。大きくわけて6つあります。
オブジェクト選択ツールで被写体を囲うだけで、Aiが自動認識して選択範囲を作成してくれるという便利な機能です。
まずは画像を用意します。
画面左にあるパレット内にあるオブジェクト選択ツールをつかいます。
アイコンをクリックし、画像の人物や物の部分を覆うようにクリックしてスライドしてみましょう。
すると、囲われた範囲をAiが自動認識し、それの全体を囲うように選択範囲が作成されます。
画像のコントラストや複雑さによって認識しやすいものとしにくいものがありますが、だいたいのものが選択されます。今回は胴体と腕の部分の間に写り込んでいる背景まで選択されてしまっています。
この場合、optionを押しながらクリック〜スライドで選択範囲をカットすることも可能です。
選択されたら、それをコピーする(command+c、windowsならctrl+c)なり
deleteで削除したり
そこに色を塗ったり色を変えたりする、なんてことができます。
明るさを変える場合
明るさが変わりました。
次にクイック選択ツールを使った選択範囲の作成方法です。
これは先程のオブジェクト選択ツールとは違い、手動で選択範囲を広げていく方法です。
オブジェクト選択ツールがある場所にクイック選択ツールがあります。
選択したら、画像の人物でも物でもいいのでどこかをクリックしてみましょう。すると、小さな選択範囲が作成されます。そのままクリックした状態で被写体をなぞるようにスライドします。
こちらも画像によって認識されるレベルに差がありますが、被写体を覆うように選択線が拡大されていきます。optionを押しながらクリックすると、選択された範囲が縮小します。
オブジェクト選択ツールよりもう少し細かい指定ができるかと思います。
このツールは、自分で選択したい場所を細かく設定したい場合に使うイメージでしょうか。
実際はそんなに精度が高いわけではないんですが、少しずつ枠を大きくしていくことができるので、そんな感覚で良いかと思います。
自動選択ツールはクリックするだけで、同じレベルの色合いや明るさの部分をすべて選択することができます。
自動選択ツールを選択します。
とりあえず何も設定をしない状態でどこかをクリックします。すると、クリックした色と同じレベルの色の箇所が選択されました。
次は隣接、と描かれた部分にチェックを入れて選択してみます。空をクリックすると、空の部分だけ選択されました。
隣接のチェックを外すと全体が選択範囲作成の領域になります。
次に、許容値と書かれた枠の数値を小さくすると認識の範囲が小さくなり、大きくすればするほど認識の許容量が大きく設定されます。
精度は低いので細かく正確な切り抜きや色塗りをおこないたい場合はあまりおすすめしません。だいたい選択できれば良いという場合はこれがかんたんでおすすめです。
コントラストの強い画像であれば、これひとつで簡単に選択範囲を作成できるので、そういった画像の切り抜きなどにおすすめです。
コントラストのはっきりした画像↓
選択範囲を作成して背景を削除。そのあと新しい画像を配置するなんてことも可能です。
なげなわツールは手動で選択範囲作成をおこないますが、手動なのでものすごくざっくりとした選択範囲が作成されるため、特殊な機能をつかうことに適しています。
使い方はとても簡単です。
なげなわツールを選択し
選択したい被写体をクリックして囲うだけ。
囲ったら選択範囲が作成されるので、切り抜いたり色塗りなどがおこなえます。
特殊な機能というのは「コンテンツに応じた塗りつぶし」という機能で、これを使えば選択された被写体を削除して、回りにある情報をもとにその部分を違和感のないよう加工するという機能です。
なげなわで被写体を囲ったら「編集」→「コンテンツに応じた塗りつぶし」を選択し専用のパネルを開きます。
設定画面がプレビューされます。左にツールと設定をおこなう画面、右にプレビュー画面と詳細設定メニューがあります。
画面左のブラシを選択したら
被写体のまわりにある背景をブラシでなぞります。被写体がなくなり、その部分にブラシでなぞった情報があてられなじませます。
プレビューを確認しながらブラシを塗って情報を増やしましょう。よければOKをおして完成です。
画像が少し複雑なのであまりうまくできていませんが、もう少し簡単な画像であれば違和感なく表示されます。
これくらいシンプルな画像が良いかと思います。
Photoshop 画像やレイヤーに色を塗りつぶす3つの方法の記事
ペンツールを利用しての選択は一番精度の高い方法ですが、自分ですべての枠を指定する必要があるので覚えるのに少し時間がかかるかもしれません。ですが覚えてしまえばいろんなことに利用することができるのでおすすめです。
Photoshop パスの作成方法と選択範囲のとり方の記事
ペンツールで線をひくと、パスパネル内に作業用パスというものが作成されます。
その項目をcommand(windowsならctrl)を押しながらクリックすれば選択範囲が作成されます。
パスを保存したい場合は、パスパネル右上にあるメニューアイコンをクリックしてメニューを表示して「パスを保存」をクリックして保存したらパスの作成完了です。
パスを保存しておけば必要なタイミングで選択範囲を作成できるのでとても便利です。
被写体を選択の機能は、ボタンひとつでAiが被写体を認識し、選択範囲するという驚きの機能です。「選択範囲」→「被写体を選択」をクリックすれば、自動的に画像にある一番認識しやすい被写体を認識し選択範囲が作成されます。
とても簡単ですが、細かい部分の認識はできていないことがあるので、今後の改善が楽しみです。もしもこの精度が劇的にあがったら、他の選択機能は必要なくなってしまうかもしれませんね。
Adobe senseiの「被写体を選択」は実際現場で使えるのか?の記事
選択範囲の応用編について、よく使うテクニックだけご紹介します。
次は選択された枠を大きくしたり小さくしたりする方法を紹介します。例えば選択範囲を作成して切り出したら、再び選択範囲を作成してそれを拡大。そこに白を塗ってぼかしをかければ上の画像を強調するみせかたができたりします。
例えばこんな画像ができます。
まず被写体の選択範囲を作成したら
commmand+c(windowsならctrl+c)で コピーして command+v(windowsならctrl+v)で 背景レイヤーの上にペーストします。
背景レイヤーの上に選択された箇所がペーストされます。
もう一度被写体の選択範囲を作成しましょう。
「選択範囲」→「選択範囲を変更」→「拡張」or「縮小」を選択します。
選択範囲が拡張されました。
「編集」→「塗りつぶし」を選択し、カラーを選択します。ここでは白を選択。
被写体のうしろに白が塗りつぶされました。
「フィルター」→「ぼかし」→「ぼかし(ガウス)」を選択します。ぼかしパネルが出現するので、そこでぼかしの半径を設定してOKをおします。
そうしたら被写体が光ったような表現をつくることができます。
以上が選択範囲の作成方法の記事でした。いろんな選択範囲を作成する方法がありますが、レベルの高いものからざっくりとしたレベルの選択範囲といろんな選択範囲の作成方法があります。なので状況に応じて使い分けていきましょう。
細かい部分まで選択したい場合はペンツールを使って作成、ざっくりで構わないという場合はオブジェクト選択ツール、もしくはクイック選択ツールを使う。といったところでしょうか。
被写体を選択はまだまだ不完全なので、今後の進化に期待ですね。
堀内 良太
フォトレタッチとイラスト作成が得意なフリーランスのデザイナー。デザインがなんだかアメコミっぽくなる習性がある。ヒップホップを愛する。
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