堀内 良太
2020/04/22
Photoshopにはスマートオブジェクトというデータ形式があります。
スマートオブジェクトは、使わなくても作業はできますが、画像の品質を維持するためにとても重要な機能です。
今回はそんな便利なスマートオブジェクトの機能を紹介していきます。
スマートオブジェクトとは、画像やオブジェクト のレイヤーを特殊なフォーマットに変換したデータのことをいい、Photoshopで採用しているビットマップデータや、イラストレーターが扱うベクターデータと呼ばれるデータをスマートオブジェクトに変換することができます。
特徴として、画質の劣化に強くなるため、形の変形やサイズ変更する場合に有効です。
通常のレイヤーは、縮小〜拡大を繰り返しおこなうと画質が劣化しますが、スマートオブジェクト化したデータは一切劣化することはありません。
さらにオブジェクトに適用した特殊フィルターによって、フィルターからの加工や色合いの変更、再設定などが簡単になんどでもおこなえます。(非破壊編集といいます。)
通常のレイヤーでは一度適用したフィルター効果は修正をくわえることはできません。
そういった場合、保険としてレイヤーを一枚多く複製しておいて、修正があった場合は複製したデータからふたたび設定をおこなう必要があります。
ですがスマートオブジェクトにしておけばたった1枚のレイヤーだけでいいので、レイヤーがかさばらず管理もしやすくなります。
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ベクトルデータとビットマップデータを実際に見てくらべてみましょう。
ビットマップは細かいドットが集合して色を表現します。拡大縮小をくりかえすと画質が荒くなりますが、ドットひとつひとつに色がつけられるので、ベクトルデータではできない細かい色や陰影の強弱の表現ができます。
Photoshopはこのデータを主に採用しています。
そしてスマートオブジェクトは、このデータの画質を保持することができます。
スマートオブジェクト化されたデータは、元のサイズを維持しているのでオブジェクトを小さく〜元のサイズに大きく、を繰り返しても劣化することはなくなります。
ただし、元のサイズより大きくすると荒くなるので注意が必要です。
ベクターデータは、ポイント(点)ライン(線)ポリゴン(面)の3つの要素で表現したものです。
ベクトルデータは何回サイズを変更しても、画質が荒くなりません。
ベクターデータをスマートオブジェクト化する場合も、ベクターデータの元を保持したデータになります。
こんなところでしょうか。。
デメリットとしてあげた切り抜きや色の塗りつぶしはできなくなるので、その場合はもとのレイヤーに戻すことで設定をおこなえます。
それではさっそく作成の仕方を紹介していきます。
まずは通常のレイヤーをスマートオブジェクトに変換します。
まずはじめに画像でもオブジェクトでもどちらでもいいのでPhotoshopで新規作成を押して新規ドキュメントを作成します。
レイヤーをクリックし、レイヤーパレット内にある+のアイコンのところへドラッグし、複製します。
複製したレイヤーを右クリックして、メニューが開いたら「スマートオブジェクトに変換」と書かれた部分を選択しましょう。
もしくは画面上部メニューの「レイヤー」→「スマートオブジェクト」→「スマートオブジェクトに変換」を選択します。
スマートオブジェクトが作成されました。
サムネイル箇所にファイルのアイコンがついたことがわかります。
レイヤーに戻したい場合、再びレイヤーを右クリックし、レイヤーに変換をクリックすればもとに戻ります。
次に作成したスマートオブジェクトに効果を適用していきます。
画面上部メニュー「フィルター」→各フィルター効果の設定ができます。
ノイズや画像のゆがみ設定・エンボスの設定など、いろんなフィルターをかけることができます。
ここではゆがみを使って、画像の形を少し変形させてみます。
変形しました。目を大きめに変更しています。
すると、スマートオブジェクトの下にスマートフィルターという小窓ができて、その下にゆがみと書かれた項目が追加されます。
これがフィルターのかかった状態になります。
画面上部メニュー「イメージ」→「色調補正」→各色設定ができます。
明るさやコントラストの調整、色相や彩度設定、モノクロ設定や階調を反転させたりなど、色に関する効果設定をここでおこなうことができます。
明るさ・コントラストの調整をおこなってみました。
ゆがみと同じように明るさ・コントラストの項目も追加されています。
次に設定した効果を修正や削除・編集していく方法です。
これらの効果を一旦見えなくしたい、もしくは使うかわからないけど念のため残しておきたい。といった場合、項目の横に目のアイコンをクリックすれば、効果を非表示にすることができます。
再び効果を表示したい場合は目のアイコンをクリックで表示できます。
また、スマートフィルターと書かれた部分の目のアイコンをクリックすると、フィルター効果すべてが非表示となります。
効果を修正したい場合、効果の項目をダブルクリックします。
すると、効果のパネルが表示されるので、そこで変更をくわえてよければOKを押して修正完了です。
効果を削除したい場合は、効果項目をクリックして、クリックしたままレイヤーパレット右下にあるゴミ箱のアイコンへドロップすれば削除されます。
また、上にあるスマートフィルターと書かれた窓アイコンをゴミ箱へ捨てると、全ての効果設定が削除されます。
フィルターの項目右側にあるアイコンをダブルクリックすると、描画モードの設定をおこなうことができます。
描画モードとは、画像の上にレイヤーを重ね特殊な効果をほどこす処理のことを言います。レイヤーに直接色をたしていくわけではないので、いろんな種類のモードに変更することができます。
下のレイヤーを基本色、上のレイヤーを合成色、合成によって生成されるカラーを結果色と言います。
Photoshop 描画モードはこれで理解できる実用サンプル付き!の記事
[nlink url=”https://design-trekker.jp/design/photoshop/drawing-mode/”]
描画モードとかかれたメニューからモード選択します。
また、その下不透明度とかかれた部分で透明度の調整ができます。
試しに明るさ・コントラストに乗算の描画モードを適用すると画像全体が暗くなりました。
どうしても塗りつぶしや切り抜きをおこないたい場合、別画像としてひらいて編集することができます。
別画像で編集したデータは、保存をおこなうとスマートオブジェクトレイヤーにも反映されるので編集したい場合はこちらでおこないましょう。
やりかたも簡単です。
レイヤーパネル右上にある「パネルメニューアイコン」をクリックしてで、「コンテンツを編集」を選択します。
すると別のタブがひらきますので、そこで加工をくわえて保存をしてみましょう。
今回この画像を切り抜いてみました。
「ファイル」→「保存」をおこないます。
すると保存された状態がスマートオブジェクトに反映されます。
最後に設定をおこなったスマートオブジェクトを通常のレイヤーに戻す方法です。
レイヤー右クリックしたメニュー内でチラッと見えてご存知の方もいるかもしれませんが、ここにある「レイヤーに変換」と書かれた部分をクリックすれば、レイヤーに変換されます。
スマートオブジェクトに適用されたスマートフィルターを保持するかどうかを選択します。はいを押しましょう。
スマートオブジェクトはレイアーに戻り、スマートフィルターの項目はなくなります。
変換したレイヤーの効果は統合されて、修正はできなくなるので変換するさいは複製をつくっておくか、充分気をつけて戻してください。
以上がスマートオブジェクトの使い方の紹介記事でした。
スマートオブジェクトはフィルター効果や色調補正設定を頻繁におこなう人であれば覚えておいた方が良い機能のひとつです。
切り抜きや色塗りはできませんが、切り抜きは最初におこなうことが多いのでそんなに問題ではありませんし、色を塗る場合は別レイヤーを作成して上から描画モードでかさねて色がついたように見せることも可能なので、やりかた次第でなんとでもなります。
まあ、途中で変更したくなったらコンテンツの編集で別ファイルにして編集することもできますし。
とりあえず使っていない人は使ってみることをおすすめします。
きっと今より作業効率がぐっとよくなる筈です。
堀内 良太
フォトレタッチとイラスト作成が得意なフリーランスのデザイナー。デザインがなんだかアメコミっぽくなる習性がある。ヒップホップを愛する。
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