堀内 良太
2019/08/23
描画モードとは、画像の上にレイヤーを重ね特殊な効果を施す処理のことを言います。レイヤーに直接色をたしていくわけではないので、いろんな種類のモードに変更することができます。
下のレイヤーを基本色、上のレイヤーを合成色、合成によって生成されるカラーを結果色と言います。
描画モードには全部で27種類とたくさんのありますが、実際に使用する機会が多い描画は、以下の3つのカテゴリーです。
画像を暗くする処理と明るくする処理、それからコントラストを上げる処理の3つです。まずはこの3つを抑えておきましょう。今回はこの3カテゴリーの効果とそれらを使ってできるおすすめの利用方法をご紹介していきます。
3つのカテゴリーを紹介するといいましたが、その前にディザ合成という描画モードを紹介します。あまり利用する機会はありませんが、一覧の一番上にでてくる機能なので、一応ご紹介します。
ディザ合成は、適用したレイヤーに特殊なノイズ効果を与えることができる描画モードで、不透明度の%によってノイズの度量が変わります。透明度が薄いほど密度が濃く、薄いと密度が低くなります。
このモードはレイヤーの重ね順に関係なく1つのレイヤーに使用すれば効果が適用されます。
砂かけBBAと書いた文字を用意して、白〜グレーの円グラデーションを背景に作成します。砂かけBBAの文字とグラデーションにディザ合成を適用。すると砂が勢いよく飛んできているような絵が出来上がりました。
ここからは合成色に適用すれば結果色に暗い効果を与える描画モードの紹介です。
乗算は、色と色のかけ算です。合成色に適用すると、基本色と合成色の色と色が重なる部分に影響を与えます。
結果色は深みのある暗めのカラーになり、人物の加工や風景、商品のイメージ制作など、使える場面がたくさんあります。
色の濃いものが反映されやすく、黒色はそのまま黒色が反映されますが、白色は反映しません。
人物写真にまつ毛と目の色を加えて乗算、頬にもうすいピンクグラデーションを入れれば、簡単にメイクアップすることができます。画像に深みをあたえることができます。
使用した「まつげ」は商用利用OKのフリー素材です。
その名のとおり、焼き込んだような表現ができる描画です。基本色の持つ色合いはそのままに、コントラストを強める効果があります。
基本色に、木の板を用意。そこにテキスト(合成色)を配置して濃いめの茶色を配色します。レイヤーをコピーし、2つめのレイヤー(合成色)はぼかしを適用。テキストレイヤー2つに焼き込みカラーを適用すれば木の板に文字を焼印したような看板の完成です。
焼き込みカラー(リニア)は、焼き込みカラーと効果が似ていますが、焼き込みカラーよりさらに暗くした結果がえられます。
木の板の画像レイヤーを2枚用意し、一番上のレイヤーに描画モードを適用してみました。↓リニアの方は焼き込み効果をだしつつ全体的に暗くなっています。
比較(暗)は、基本色と合成色をあわせた時、より濃い色数値を持つ方が結果色として表示されます。RGBそれぞれの色から数値の低い方がえらばれます。
RGBの数値が出てくるとちょっとむずかしく感じますが、「合成すると暗くなる」と覚えておけばよいでしょう。
合成色に古紙のような画像を用意して比較(暗)を適用すれば、かなり昔のアルバムから出てきたような懐かしい雰囲気の写真ができあがりです。
合成色と基本色、すべてのチャンネル値の合計を比較し、値が低い方の色が表示されます。比較(暗)はRGBそれぞれの数値が低い色を選んでいたのに対し、こちらはRGB合計値の低い色が表示されます。
色がブレンドされない分こちらの方がわかりやすくて使い勝手が良いかもしれません。
暗い色が表示されるという特性をふまえ、基本色より濃い目の青空を用意。曇った空を青空に変えることができます。
ここからは合成色に適用すれば結果色に明るい効果を与える描画モードの紹介です。
基本色または合成色を合わせた時、より明るい色数値を持つ方が結果色として表示されます。
RGB3つの色から数値の高い方を採用します。
暗めの人物画像に素材でありそうな黒バックに明るい光の画像配置。光を編集→変形→水平方向に反転、をえらべば、ハート型をした光だけが人物画像に残り、幻想的なイメージの完成です。
合成色と基本色、すべてのチャンネル値の合計を比較し、値が高い方の色が表示されます。つまり、明るい色が結果色に表示されるということになります。
値が高い色(明るい色)が表示されるという特性をいかして、黒の人物画像に明るめの雲画像を合成色として用意します。2枚を合わせると人物の部分だけに雲が透けてみせることができます。
こういった環境の画像を見つけたり撮影するのはなかなか難しいですが、うまくハマればいい絵が出できあがるのでぜひ色々ためしてみてください。
スクリーンは合成色と基本色を反転したカラーを乗算します。頭で考えてもなかなかイメージがわきにくいですが、結果色は乗算の逆で明るい色合いになります。黒は反映されませんが、白は反映されます。
黒は反映されず、白(明るい色)が反映されるという特性をいかし、こんなイメージも。スクリーンのみでこういったイメージを作りだすことができるので、相性の良い画像をみつければこういったイメージもできます。
覆い焼きカラーは焼き込みカラーの逆パターンです。基本色を明るくして、基本色と合成色のコントラストを弱くします。白は反映されますが、黒はまったく反映されません。
暗めの夜景などの画像に青系の色を合成色としてのせると明るい部分が強調されてSFチックな町並みに変貌をとげます。
覆い焼きカラー(リニア)は焼き込みカラー(リニア)の逆です。基本色を明るくして、全体的に明るくなります。覆い焼きカラーと同じく黒はまったく反映されません。覆い焼きカラーよりさらに明るくなります。
覆い焼きカラーで用意した画像に覆い焼きカラーを適用してみました。すると覆い焼きカラーよりさらに明るくなったことがわかります。覆い焼きカラーよりも明るくしたい場合に便利です。透明度をさわって明るさを調整してみるのも良いでしょう。
ここからは合成色に適用すれば結果色にコントラスト効果を与える描画モードの紹介です。
オーバーレイ〜リニアライトまではあるていど似たような効果です。じっさいに試して比べてみましょう。
オーバーレイは、暗いところはより暗く、明るいところはより明るくする特徴があります。暗いところは乗算、明るいところはスクリーンにしてくれます。なので結果色ははっきりしたコントラストがつき、より鮮やかな色合いになります。
淡い画像に明るめのグラデーションを合成色として配置。すると明るいところがより明るく、ノスタルジーな雰囲気が増しました。
こちらは花の画像を2枚重ねて、上の画像にオーバーレイを適用した場合の参考例です。濃い色の部分はより濃く、明るい部分はより明るくなり、全体的にコントラストがはっきりした画像になります。
ソフトライトはオーバーレイと同じで、重ねた色によって色相は変えずに明るい部分をより明るく、暗い部分は暗くします。ですが、オーバーレイよりもコントラストが弱めです。
合成色(光源)が 50 %のグレーよりも明るい場合、画像は覆い焼きされたように明るくなり、合成色が 50 %のグレーよりも暗い場合には、画像は焼き込んだように暗くなります。
ハードライトはオーバーレイよりもさらに強いコントラストをもたらします。50%グレーより明るい部分は画像や色はスクリーンされたように明るく、50%グレーより暗い場合は画像や色は乗算されたように暗くなります。黒色は黒色、白色は白色のまま反映されます。ハードライトという名前のとおり、強い光を当てたような効果を与えます。
合成色の色味に応じてコントラストを増幅または減少させ、カラーの焼き込み、覆い焼きをします。合成色(光源)が 50 %グレーより明るい場合は、コントラストを落として画像を明るくします。合成色が 50 %グレーより暗い場合は、コントラストを上げて画像を暗くする効果があります。
合成色に応じて明るさを減少、増幅させ、カラーの焼き込み、もしくは覆い焼きの効果をあたえます。合成色(光源)が 50 %グレーより明るい場合は、明るさを増して画像を明るくし、合成色が 50 %グレーより暗い場合は、明るさを落として画像を暗くします。
リニアライトの特性をいかし、淡めの色を上からのせれば。。かっこいいポスターのできあがり!
Tシャツにのせても良いと思います。
合成色に応じて、カラーが置き換わります。合成色(光源)が 50 %グレーより明るい場合は、合成色より暗い色が置き換わります。合成色より明るい基本色の部分は変化がありません。合成色が 50 %グレーより暗い場合、合成色より明るい基本色の部分は置き換わります。合成色より暗い色は変化ありません。画像を重ねてもまったく変化はありません。
合成色のR、G、B、各チャンネルの値を基本色の RGB の値に追加します。合計が 255 以上のチャンネルは255 になり、 255 以下のチャンネルは0 になります。つまり合成されるすべての色に、0 か 255 のいずれかの RGB 値が割り当てられます。赤、緑、青、白または黒色に変わります。とても極端です。
全体の色数が減り、ベタっとした表現に変わります。
ハードミックスの特徴をいかし、女性の画像を白黒に、その上に同じ画像を重ねてハードミックスを描画すればあっという間にパンク・ロック風なイメージの完成です。
描画モードは種類がたくさんあって効果も似たようなものがたくさんあるのでひとつひとつ覚えるのは大変です。
覚えられるようになるまではざっくりでいいので、暗くするカテゴリー、明るくするカテゴリー、コントラストをつけるカテゴリー、で覚えておけば現場で混乱することはありません。
堀内 良太
フォトレタッチとイラスト作成が得意なフリーランスのデザイナー。デザインがなんだかアメコミっぽくなる習性がある。ヒップホップを愛する。
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