堀内 良太
2019/07/15
古くからある機能なんですが、使ったことがなかったり、多少は使ったことあっても使い方がよくわからず挫折したとかそういうことをよく聞く機能の代表例だと思います。
グラデーションメッシュのことを公式サイトにかかれていますが、何を言ってるのかさっぱりわかりませんw
メッシュオブジェクトは、カラーを様々な方向に流し込み、ポイント間でのスムーズなカラーの移行を可能にするマルチカラーオブジェクトです。オブジェクトをメッシュオブジェクトに変換すると、メッシュラインと呼ばれる網状のラインがオブジェクト上に作成され、複数のカラーを自由に移行させたグラデーションを定義することができます。メッシュライン上のアンカーポイントを移動または編集すると、カラーの移行量や、カラーを適用する範囲を変更できます。
かんたんに言い換えれば、オブジェクトに複数のグラデーションを設定し、立体的なグラフィックを作成できるツールです。
使い方はとっても簡単です。楕円形ツールを選択し、オブジェクトを作成します。そのあと左端パレットにあるグラデーションメッシュツールを選択し、オブジェクト内どこでもいいのでクリックします。クリックしたアンカーにカラーを設定するとポイントにグラデーションを作成できます。
グラデーションメッシュツールを選択
オブジェクト内どこかをクリックしてカラーを設定します。
作成された十字メッシュのポイント5箇所と、四隅のポイントすべてにグラデーションを入れることができます。
四角のオブジェクトの場合は90°の十字メッシュに。四角のオブジェクトの角を丸くしたい場合、十字メッシュも丸みに沿った形になります。楕円形のオブジェクトの場合は丸みをおびた十字メッシュになります。
メッシュを引いたあと、メッシュの形を変更することができます。大きく動かしすぎると色と色の境目が極端になってしまいます。使い所によるでしょうけども、注意してカスタマイズしていきましょう。
さらにメッシュを増やしてエッジのきいたグラデーションを作成することもできます。
さらに十字のメッシュを支点ににょきっと生えたハンドルがありますが、これを動かすとメッシュにカーブをかけることができます。色々試してみましょう。
グラデーションメッシュはオブジェクトにポイントを入れれば簡単にグラデを作れますが、オブジェクトの形によっては自分が意図していないところにメッシュ線が入ってしまう場合があります。
そこでメッシュ線をコントロールするために、アンカーポイントを追加してメッシュを入れます。
2で説明しているアンカーポイント4点を起点にメッシュが作られます。このやり方を使えばメッシュの方向、すなわち光の方向をコントロールすることができるのです。
必ず4つポイントを作ってメッシュを作成してください。すると4つのポイントを起点に円を描くようにしてメッシュをいれることが可能になります。色を入れるとこんな感じに↓
次は実際に写真をトレースしてグラデーションメッシュで模写していってみます。
写真を用意します。グラデーションメッシュの特性を考えて、できるだけシンプルなものから始めることをオススメします。いきなり複雑なものはややこしいのでなれてからトライしてみてください。
写真をざっくりトレースしていきます。できるだけ丸みをつくるように意識して作成しましょう。角が多いものはメッシュがごちゃごちゃしてしまうのでNGです。それからパスのアンカーポイントが多すぎもダメです。メッシュそのものが作れなくなってしまいます。
illustratorのペンツールの基礎から学習できるおすすめサイトの記事
トレースができたら土台となる体に基本となる色を入れます。ピンク色のブタなので、ピンクのいい色をした部分を抽出します。画面左にあるスポイトツールで色を抽出しましょう。
抽出しました。
次にメッシュを入れていきます。色が変化している箇所や、奥行きなどを考えながらポイントを入れていきます。頭から顔のあたりにかけて光が反射していますので、さきほど作ったメッシュのように、アンカーポイントを4つ作成して光の向きを作っていきます。
メッシュを入れたら写真を見ながら色が変化しているところや奥行きなどを考えながらポイントを決めていきます。色はスポイトツールで抽出すれば近い色が配色されます。
ブタのお腹のあたりが暗いので周辺いったいにポイントを入れます。
ブタのお腹黒色部分を抽出するとこんな感じに
次は耳の部分をつくっていきます。ブタの耳を見てみると、明るい部分とくぼんで見える暗い部分(影の部分)、その中の耳の中は体と同じような色合いをしています。これらをメッシュで作成しそれぞれの色を抽出します。こちらもアンカーポイントを4つ作成してメッシュを作成していきます。円をえがくようなメッシュがひけたらそれを連続して2つ作成します。
2箇所メッシュを入れたあと、外側と内側2つのポイントにカラーをいれていきます。
次に耳の下の部分を顔になじませるため、下部分をダイレクト選択ツールで選択し、透明度を0%にします。
次は鼻の部分は強引にメッシュを動かして鼻の形をつくっていきます。これは動画で見てもらったほうが早いので下をご覧ください。
こうやって強引にメッシュを動かして鼻の形をつくってできたものに、光や影の部分の色を抽出していきます。そしてできた絵がこちらです。
次に鼻の穴を作成していきますが、鼻は体とは別のパスで作成したのでそこに直接メッシュを入れていきます。
ここはカスタマイズもせずにメッシュを入れたあと色を入れて調整します。
鼻はこれでほぼ完成です。続いて足の部分ですが、こちらは耳を作ったやり方で陰影をつくっていきます。胴体と手の堺目も耳の部分とおなじように透明度0%にして色がなじむように設定しましょう。
最後に全体の色を確認してバランスを整えましょう。写真とまったく同じではありませんが、グラデーションメッシュを駆使してリアルな絵が作成することができました。
最近Adobeに搭載されたフリーグラデーションはオブジェクト内に複数のグラデーションを簡単につくることのできるグラデーションのオプション機能ですが、グラデーションメッシュとの違いは何でしょうか。ふたつを比べてみました。
フリーグラデーションはオブジェクト内をクリックするだけでグラデーションを作成することができ、グラデーションの大きさや色の設定なども簡単に変更することができます。グラデの数もスペースがある限りたくさん作れますが、隣接したポイントの色調整や範囲の調整が難しいので、カスタマイズの自由度は低いなあといった印象です。
グラデーションは円形につくられていて、色の変化はなめらかです。極端な色の変化を生みだすことはむずかしいでしょう。
Illustrator CC 2019フリーグラデーションで広がるデザイン表現の記事
それに対してグラデーションメッシュは今回紹介したとおり、オブジェクト内をクリックしたあと十字のメッシュが作成され、そこにカラーをいれていきます。グラデーションの大きさを変えたり色設定の調整をすることはできますが、メッシュの規則性が独特なので特性を理解するのにかなり時間がかかるでしょう。
しかし、フリーグラデーションでは表現できない色の変化も作り出すことができるので、よりリアルで実写に近いイラストの表現もできたりします。(ものすごく細かい表現はやったことないですが。。
あまりうまくはないですが、こういった光のあたり方や陰影の表現はフリーグラデーションでは表現できません。
2つを比べてみた結果、手軽さはフリーグラデーション、表現の幅においてグラデーションメッシュの方に軍配があがりました。
表現の幅といいましたが、実際現場で作成するイラストや広告制作などでは正直そこまでリアルなものを要求されることはあまりないですし、リアルな絵が必要なのであればもはやそれ写真でいいんじゃないの。。って思います。
ですので何をつくるかによりますが、難しいものを作らないのであればどちらを使っても大差ないかなあと思いいます。
グラデーションメッシュはつきつめてつくればものすごく複雑な絵も作れ出せますが、時間をかけた分良い結果がえられるとは限りません。メッシュはペンツールでパスをひいて絵を描くより自由ではなく、意図したラインを引くことを想定することが難しいからです。
現場で使う頻度が高くかつ簡単にメッシュで作れるものは吹き出しやWEBページなどのボタン、アイコンなどでしょうか。他にもあるかもしれませんが、シンプルな形をしていてかつつるっとした丸みを帯びているものを作るならメッシュを使ってみるのも良いかと思います。
以上グラデーションメッシュの紹介でした。
イラレのありとあらゆるグラデーションを総まとめした記事です。知識の補完にどうぞ。
堀内 良太
フォトレタッチとイラスト作成が得意なフリーランスのデザイナー。デザインがなんだかアメコミっぽくなる習性がある。ヒップホップを愛する。
はじめまして。
説明文にあるように追加したアンカーポイントをダイレクト選択ツールで選択後メッシュツールにてオブジェクト内をクリックしましが元のアンカーポイントだけが指定されて説明されているような事にはなりませんでした。
本当にダイレクト選択ツールで増やしたアンカーにメッシュを反映できるのでしょうか?
コメントを投稿する